世界大植林計画と砂漠化防止の歴史 - 1997年から2020年代まで
1997年、砂漠化が地球規模で深刻化する中、2010年を目標に「世界大植林計画」が提案されました。この計画は、森林減少による生態系破壊や土壌劣化を防ぎ、持続可能な環境を実現するための国際的な取り組みとして注目を集めました。特にアフリカのサヘル地域やアジアの内陸乾燥地帯での活動が推進され、ナイジェリアやモンゴルでの植林プロジェクトがその代表例です。
日本国内でも、都市部での屋上緑化や奈良県吉野地域の里山再生プロジェクトが進展しました。住友林業や三菱地所といった企業が積極的に参画し、二酸化炭素の吸収効率を高めるスギやヒノキを中心に植樹が進められました。さらに、神奈川県藤沢市の農業環境技術研究所では、耐塩性樹種の研究が進行し、砂漠化地域での適応力強化を目指す技術革新が進められました。
2020年代に入ると、砂漠化の進行は依然として地球規模の課題であり、国連砂漠化対処条約(UNCCD)の報告では、毎年約1200万ヘクタールの土地が砂漠化で失われていることが明らかになりました。これは、毎分23ヘクタールの土地が消滅している計算になります。
これに対し、日本企業はより具体的な対策を展開しました。トヨタ紡織株式会社は、中国内モンゴル自治区のトングリ砂漠で、2013年から2020年までに約8万本の苗木を植樹しました。また、伊藤忠商事株式会社は、ブラジルで約25万ヘクタールの土地に植林を行い、そのうち約13万ヘクタールを森林再生地として活用しています。
さらに、日本の環境省は、モンゴル国ゴビ地域で遊牧民の気候変動適応能力向上を目的としたモデル事業を実施し、持続可能な牧草地利用法の開発を進めました。これらの取り組みは、砂漠化防止に加え、二酸化炭素の吸収量増加や生物多様性保全への貢献として高く評価されています。
一方で、砂漠化の進行速度は依然として高く、国際社会全体でのさらなる協力が求められています。技術革新と地域ごとの対策が一体となり、持続可能な未来を実現するための取り組みが進行中です。
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