脱硫装置の海外展開 - 1998年から2020年代までの発展
1998年、日本企業の代表である三菱重工業と日立製作所は、アジア市場に向けた脱硫装置の輸出を開始しました。特に台湾と韓国での需要が高まり、2025年までに台湾で200基、韓国で150基の設置が計画されました。この装置は、発電所や製鉄工場で発生する硫黄酸化物(SOx)を効率的に除去するためのもので、地域の大気汚染の抑制に寄与しています。湿式脱硫法を採用し、石灰石を吸収剤としてSOxを化学的に吸収し、年間約10万トンの石膏として副生成物を建築資材に再利用するなど、産業廃棄物の削減にも貢献しています。
また、三菱重工業は現地の環境基準に適応するため、台湾の電力会社台電との技術提携も行い、韓国では韓国南東発電がSOxを95%以上除去する能力を持つ装置を採用。これにより韓国では年間約15万トンのSOx削減が見込まれました。さらにヨーロッパ市場への進出も視野に入れ、地域ごとの環境基準に対応するための技術改良が進められました。
2020年代に入ると、日本企業はさらに脱硫装置の海外展開を強化します。三菱重工業の子会社である三菱パワーは、セルビアのニコラ・テスラB石炭火力発電所に世界最大級の排煙脱硫装置(FGD)2基を受注し、2024年中の運転開始を予定しています。この発電所は出力134万kWで、導入されるFGDは1基あたり67万kWの排煙処理が可能です。このFGDの導入により、SO₂排出量が96%削減され、EUの新産業排出指令(IED)基準に適合する130mg/Nm³以下が達成される予定です。
三菱パワーは世界市場で300基以上のFGDの納入実績を持ち、2019年にはFGD市場でトップシェア37.2%を獲得、2014年から6年間の累計でも出力5101万kWでシェア37%を達成しています。アジア市場においても、中国やインドの新興経済圏で空気質制御システム(AQCS)の需要が高まる中、技術供与や指導を通じて地域の環境改善に貢献しています。
このように、日本企業は脱硫装置の技術を活用して、地球環境の改善と持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たし続けています。
No comments:
Post a Comment