「各所で環境の取り組みが加速し、環境ビジネスのステージも一部の特定産業から全産業(第1次、第2次、第3次)へ、都市(都市・生活公害)から地域(地域資源循環)へ、官公需要から民間需要へ多様な広がりを見せている。そうした広がりのひとつとしてエコビジネスネットワークでは「離島地域」(沖縄、奄美、八丈島を除く、人が居住していて架橋がない島)に注目したい。
四方を海に囲まれ、豊かな自然環境に恵まれた離島地域はこれまで、島民が主体となり生活空間、生産空間としての自然環境を利用、維持・保全してきている。しかしその一方で、観光客など外部からの来訪者により発生する廃棄物や、島内の生活・産業から排出する各種廃棄物の処理など、島内における施設整備の遅れや島外搬出コストなどが足かせとなって十分な対応がとられてきたとはいえない状況にある。
しかし近年、廃棄物処理法の改正や容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法など各種リサイクル法が整備され、離島地域においてもより具体的な対応が急務となってきた。ごみ処理問題はいまや島しょ行政にとってかなりのウェイトを占めている。
すでに一部の離島地域では循環型社会形成に向けた取り組みが加熱している。屋久島では急峻な地形と豊富な水を利用し、電力の8割を水力で賄っているほか、屋久町ではし尿、糞尿、生ごみを堆肥化している。沖永良部島も島内で発生する生ごみを含む有機廃棄物から堆肥を製造し、農地の総作付面積の約25%で堆肥を利用、北海道羽幌町の天売島でも生ごみ堆肥化により焼却ごみを85%減量した。八丈島のデポジット制度もPR効果も含め大きな成果をあげている。しかし、そうした取り組みはまだほんの一部でしかない。
「離島振興法」は、離島の特殊事情(環海性、狭小性、隔絶性)に起因する格差を取り除くことを目的に、1953年に制定されたもので、離島振興対策実施地域の指定、国、都道府県による長期計画の策定、長期計画に基づく年度別事業計画の作成、事業計画の実施にあたっての予算の確保と事業実施に係る国の補助負担率の嵩上げ、などの規定が骨格をなす法律だ。この法律は、10年間の時限法として制定されており、これまで4回の延長を経て、現在の適用期限は1993年度から2002年度までとなっている。
現在の法では、離島の役割(国土の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全など)を明記するとともに、離島振興計画内容(高齢者福祉、観光開発など)や配慮規定(地方債、総合的な交通の確保など)を拡充し、税制措置を創設するなど内容を一段と充実した。そして次回の延長では、近年の社会情勢から考えて「離島地域における循環型社会形成」というテーマが織り込まれる可能性は非常に高い。このテーマに沿って、離島地域における循環型社会形成に向けた施策、循環インフラ整備やシステムづくりのための予算措置などが講じられることが予想される。
離島地域における循環システムの整備を実現するうえでの課題は多い。廃棄物処理・リサイクルに関していえば、各種廃棄物について島内での処理施設が理想ではあるが、廃棄物の確保、生成物のマーケット事情など難しいケースも多い。かといって島外での処理でも輸送コストがのしかかる。家電リサイクル法を例にとると、奄美大島では大型冷蔵庫の収集運搬料金が8000円以上にもなる。また島しょが連携して処理するにしても、どの島に施設をつくるかで紛糾することも予想される。
しかし、リサイクル処理だけでなく、廃棄物の発生抑制、もしくは自然エネルギー開発など、地域の生活・産業のあり方を環境負荷のより少ない方向へと見直すことは、離島地域にとって地域社会の持続性を確保するために、地域の新しい魅力を引き出すうえでも避けて通れないテーマになりつつある。今後、否が応にもインフラ整備、システムづくりが早急に進められることは間違いない。
「離島地域における循環型社会形成」は、これからの地域循環システム形成にあたってのモデルケースともいえる。それぞれに異なる各離島地域のニーズを掘り起こすことで環境ビジネスのステージは一層の広がりを見せることになるだろう。」
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