Wednesday, April 2, 2025

パラオでの廃棄物放置による海洋生態系破壊 2007年6月

パラオでの廃棄物放置による海洋生態系破壊 2007年6月

太平洋の島国パラオでは観光業の発展と人口増加に伴い廃棄物処理の問題が深刻化していた。首都マルキョクを含むいくつかの島では焼却施設や適切な埋立地の整備が不十分で家庭や商業施設から出る廃棄物がそのまま海辺に不法投棄される状況が続いていた。

このような状態では降雨によって廃棄物に含まれる有害成分が流出し海に直接流れ込むことで汚染が進行。特にプラスチック製品や食品廃棄物が分解される過程で生じる成分がサンゴ礁や魚類に悪影響を及ぼし地元の漁業や観光資源としての自然環境が脅かされていた。

現地住民からは「異臭がひどく観光客からの苦情が絶えない」「ゴミにたかったハエが住居にまで入り込む」など生活環境の悪化に対する不満と不安の声が上がっていた。海岸線に直接捨てられたごみは高潮時や台風などで海中へ拡散しウミガメの誤飲、サンゴの白化、魚の大量死といった生態系への直接的な被害も発生していた。

この状況に対応するため岩手県奥州市のNGO「ライスジャパン」はパラオ政府および国際協力機関と連携し現地に廃棄物焼却施設を寄贈する活動を行った。施設は処理能力5トン/日を有し小規模自治体に適した設計とされた。寄贈にかかった費用およそ2000万円はライスジャパンが中心となって日本国内で募金を募り地域の学校や市民団体の協力のもとで集められた。

この取り組みは国境を越えた市民主体の環境支援の模範例とされておりパラオ政府も焼却施設の活用を軸にごみ処理政策の見直しに着手している。またこのプロジェクトをきっかけに周辺諸島でもごみ処理の重要性についての啓発活動が始まりつつある。

この事例は小規模島嶼国における廃棄物処理の脆弱性とそれがもたらす生態系破壊の実態を明らかにすると同時に草の根的な国際協力の意義を再認識させるものである。

関連情報源

1. 国家固形廃棄物管理戦略(2017年〜2026年)
パラオ政府は固形廃棄物が公衆衛生や環境に及ぼすリスクに対処するため「国家固形廃棄物管理戦略」を策定。持続可能なごみ処理体制の構築を目指している。

2. JICAと日本政府による新国立埋立地支援
日本政府およびJICAはパラオの新たな国立埋立地の整備を支援し廃棄物の適正処理による環境負荷軽減を推進している。

3. 国連環境計画(UNEP)による海洋ごみ対策
パラオは海洋ごみの実態調査と管理体制の強化を進めておりプラスチックによる海洋生態系への影響低減が国家的課題とされている。

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