Friday, April 4, 2025

「焔の季節、或いは革命の残響」――1968−1969

「焔の季節、或いは革命の残響」――1968−1969

あの頃、俺はまだ若くて、何も持たず、けれどやたらと燃えていた。大学の分校に身を置きながら、なぜか全学ストライキの議長になっていた。理由なんて曖昧だった。ただ、空気がそうさせた。仲間たちの怒声、アジ演説、ビラのインクの匂い。全部が正義だった。でも、ストは途中で潰れ、翌年、俺は放学処分になった。「もう来るな」と告げられた日、教室が無音の戦場に見えた。

共産党の火炎瓶闘争に憧れた時期もあった。だが、やがて俺の中でその火は灰になった。理想を語るやつほど、現場で汚れるのを嫌がった。幻滅と挫折は、革命より静かにやってくる。その痛みに俺は、書くことで抗った。図書館で歴史書を漁り、文学に逃げた。寺山修司の戯曲に慰められ、丸山眞男の論を読みながら、自分の正義を自問した。

歴史は、誰かの名言じゃない。俺の肌に残った火傷のようなものだ。燃えて、焦げて、そして残った跡。それを書き残したくて、俺は書きはじめた。たとえそれが、もう誰にも届かなくても。

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