埋もれた金脈を掘り起こせ-都市鉱山と資源循環の未来(2008年12月)
地球規模で資源の枯渇が進む現代、レアメタルを巡る争奪戦は熾烈を極めている。こうした中で注目されているのが、使用済みの電子機器や製品に含まれる希少金属を回収・再利用する「都市鉱山」の概念である。日本はインジウムやセレン、リチウムといった先端技術に不可欠な金属をほぼ輸入に依存しており、その確保は経済・安全保障の観点からも喫緊の課題となっている。
都市鉱山の活用は、限られた資源を国内で循環させる有効な手段であるが、現実には高度な分別技術や処理コストが障壁となっている。加えて、こうしたビジネスは国際相場に強く影響され、価格の低迷時には採算が取れず、反対に価格が高騰すれば資源の乱獲が起きるなど、不安定な構造にある。
また、途上国における採掘の現場では、環境破壊や過酷な労働条件といった深刻な社会問題も表面化している。日本の企業と政府には、倫理的配慮を含めた持続可能な資源政策が求められている。都市鉱山は単なるリサイクル技術にとどまらず、資源主権と環境保全、経済合理性を同時に担保する「未来の金脈」として、制度整備や国際協調、技術革新を基盤にその活用が期待されている。
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