BDF精製施設と排水問題-2008年12月
2008年12月
廃食用油を原料にしたバイオディーゼル燃料(BDF)は再生可能エネルギーとして全国の自治体や民間団体で導入が進んでいる。なかでも地域循環型社会の構築や地球温暖化対策の一環として、学校給食や家庭から回収された廃食油を活用し、公共車両やごみ収集車などに使用されている事例が多数ある。
しかし、このBDFの製造過程で発生する「グリセリン」や「アルカリ洗浄排水」が大きな環境問題となりつつある。精製の際、メタノールや水酸化ナトリウムなどの化学薬品を使用するため、洗浄工程で有害な成分を含む排水が生じ、これが河川や下水処理施設への負担となっている。特に小規模な施設では排水処理能力が不十分で、無処理のまま排出された場合、環境汚染を引き起こすリスクがある。
また、排水だけでなく、副産物のグリセリンの処分にも課題があり、処理費用や引き取り先が確保できない場合、放置や不法投棄の懸念も出ている。こうした問題に対し、環境省は指針を作成し、排水処理設備の整備や運用管理の徹底を促しているが、法的拘束力がないため対応は地域や事業者ごとにまちまちである。
今後、BDF事業を持続可能な形で普及させていくには、製造時の環境影響を十分に評価した上で、排水処理技術の開発支援や、法制度の整備による統一的な管理体制の確立が不可欠とされている。再生可能エネルギーであっても、そのプロセス全体における環境負荷を抑える努力が求められている。
【関連情報源】
- 『BDFの排水 - 環境Q&A』
植物油脂由来のBDF製造時に発生する排水の成分や影響について詳述。特に油分、グリセリン、アルカリ成分の管理が重要。
- 『バイオディーゼル燃料製造販売事業 - ダイセキ環境ソリューション』
排水処理不要の製造プロセスを採用し、環境負荷を低減する技術の導入事例を紹介。
- 『バイオディーゼル燃料の製造方法と利用の現状』
BDF製造工程とその環境的影響、排水処理や副産物処理の課題について技術的に解説。
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