Friday, June 6, 2025

【一人称】「ゴミで金を稼ぐ時代――私が見た医療廃棄物の裏側」―1994年

【一人称】「ゴミで金を稼ぐ時代――私が見た医療廃棄物の裏側」―1994年
あの頃、医療廃棄物ってやつは、まさに"金になるゴミ"でしたよ。バブルが崩壊して、うちの本業も先行きが怪しくなってた時期に、「感染性廃棄物」って言葉が急に出てきたんです。注射針とか、血のついたガーゼなんかが、法律で特別扱いされるようになって、それまで1キロ50円くらいだった処理費が、いきなり1000円なんて数字に跳ね上がった。

こりゃ美味しいぞって思いましたね。焼却炉とトラックさえあれば始められるし、行政も当時は規制強化に夢中で、現場までは目が行き届いてなかった。うちも見よう見まねで処理業に手を出したけど、ちゃんと法律通りにやってたら儲けなんて出ない。そのうち50円で請け負う業者も出てきて、まともな処理なんてしてるはずがない。不法投棄や、昔ながらの雑な焼却炉での処理が当たり前になってた。

農家の人に「最近、畑の野菜が変なんだ」なんて言われたときは、さすがに胸が痛んだ。でも、行政は動かないし、誰も責任を取らない。今思えば、あれは環境犯罪だったんだと、ようやくわかってきたところです。

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