中国 ― 電子廃棄物と環境汚染 2003年
2003年前後の中国は、WTO加盟(2001年)による外資流入と輸出拡大を背景に、年率8%を超える高度経済成長を続けていました。しかしその裏側で、石炭依存型のエネルギー構造と急増する工業生産は深刻な環境負荷をもたらしていました。第3回中国エネルギー資源持続フォーラムでは、石油の輸入増による安全保障リスクや、大気汚染を引き起こす石炭燃焼、さらに環境対策の遅れが競争力低下につながることが強調され、エネルギーと環境の両立が急務とされました。
特に生活燃料の65%を石炭に依存する農村部では、大気汚染や酸性雨が広がり、健康被害や農業生産への悪影響が懸念されました。加えて都市部では携帯電話や家電の普及が急速に進み、2003年には携帯契約数が2億5700万件に達しました。これにより電子廃棄物が急増し、鉛やカドミウム、難燃剤といった有害物質がリサイクルされず環境に放出されるリスクが国際的に問題視されました。
こうした状況を受け、中国国家環保総局は生産者延伸責任(EPR)の導入を掲げ、製造業者に製品のリサイクル義務を課しつつ、有害物質の使用削減を促しました。欧州で施行されたRoHS指令やWEEE指令の動向を参照しつつ、中国独自の循環型経済モデルを打ち出そうとしたのです。これは後の中国循環経済法(2009年施行)につながる先駆的取り組みといえます。
当時の中国は「世界の工場」として成長の果実を享受する一方で、電子廃棄物や石炭依存がもたらす環境破壊に直面しており、持続可能な成長の模索が始まった重要な転換期にあったのです。
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