Sunday, September 28, 2025

土木から土へ──有機農業に挑んだ企業たち(2006年頃)

土木から土へ──有機農業に挑んだ企業たち(2006年頃)

二〇〇〇年代初頭、地方の建設業界は公共事業の削減で経営難に直面し、多くの企業が新たな事業分野を模索した。その一つが農業への参入であり、地域資源を活用した循環型の有機農業は、環境意識の高まりや食の安全志向を背景に注目を集めた。愛媛県松山市の金亀建設は農業法人「あぐり」を設立し、耕作放棄地を借りて無農薬の稲や野菜を栽培。食品残渣や建設副産物を堆肥化し、土づくりに力を注いだ。岩手県の蒲野建設は閉鎖工場を利用して堆肥製造を始め、低農薬ホウレンソウの栽培を展開。自社ブランド「アグリがまの」で首都圏市場に参入し、年間一億円超を売り上げる規模に成長した。北海道遠別町の北浜建設も酪農や漁業副産物を堆肥に活かし、農業法人アリタを設立。有機カボチャや大豆を栽培し有機JAS認証
を取得したが、建設業を廃業して農業専業に転じる道を選んだ。三社に共通するのは堆肥を核とした循環型農業と、農家の知恵を学びながら地域資源を再生させる姿勢である。「土が応えてくれる」「堆肥で根が強くなる」といった会話が交わされ、挑戦を支える人間味がにじんだ。これらの事例は、当時の有機農業ブームの中で地方再生と環境貢献を同時に模索した小さな実践として位置づけられる。

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