自然の均衡が崩れるとき 生態系破壊という次の危機 20世紀終盤から21世紀中葉
二十世紀後半以降、飢饉、疫病、戦争といった直接的な脅威が相対的に抑えられる一方で、生態系破壊が人類にとって最大級の危機として浮上した。科学技術と経済成長を背景に、人間は森林伐採、都市化、農地拡大、資源採掘を進め、地球上の土地や水域の大部分を改変してきた。その結果、水や空気の浄化、炭素固定、気候調整といった生態系の基盤的機能が損なわれ、生物多様性は急速に失われている。気候変動はこの流れをさらに加速させ、極端気象や生息地の分断によって多くの種が絶滅の危機に直面している。近代以降の自然は管理できるという人間中心主義的発想は、短期的な利益を生んだ一方で、長期的には人類自身の存続条件を掘り崩してきた。生態系破壊は単なる環境問題ではなく、人間の文明構造そのものが招
いた危機であり、今後は自然を制御する対象ではなく、共存すべき基盤として捉え直す視点が不可欠となっている。
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