見えない合意が世界を動かす夜 共同主観と物語の力 20世紀後半から21世紀初頭
人間の強さは、個々の知能や身体能力ではなく、同じ物語を共有し、同じ現実を信じる共同主観にある。宗教、国家、科学はいずれも、人々の行動や価値判断を揃える物語として機能し、大規模な社会秩序を支えてきた。戦後の大量社会では、マスメディアと経済成長の物語が人々を結びつけ、冷戦期には自由と全体主義という対立する物語が世界を分断した。インターネット時代に入ると、物語は細分化され、複数の共同主観が並存し、結束と同時に分断も生み出すようになる。とりわけ人間中心主義の物語が固定化されると、人間が自然を管理する主体であるという発想が強まり、生態系破壊や社会的行き詰まりを招きやすくなる。共同主観は不可欠な社会基盤であるが、重要なのは物語を絶対化せず、更新し続けることであり、
共存と制約を含む新たな物語を選び取れるかどうかが、21世紀社会の持続性を左右している。
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