Wednesday, December 31, 2025

似たかたちが生まれる不思議 ベルクソン「創造的進化」 進化論諸説が越えられなかった壁 十九世紀末二十世紀初頭

似たかたちが生まれる不思議 ベルクソン「創造的進化」 進化論諸説が越えられなかった壁 十九世紀末二十世紀初頭

十九世紀末から二十世紀初頭の進化論争を、ベルクソンは機械論と目的論という二つの枠組みで整理し、いずれも生命の生成を説明するには不十分だと批判した。機械論は変化を要素へ分解し、同じ条件から同じ結果が生じるとみなす。一方、目的論は生命があらかじめ定められた目標に向かうかのように理解する。しかし両者はいずれも、完成した形を説明しやすい枠に当てはめることで、生成の運動そのものを取り逃がしているとされる。

この問題が鮮明になるのが、異なる条件下で似た構造や機能が現れる現象である。ダーウィンの自然選択説は微小変異の蓄積によって適応を説明するが、別系統の生物が似た形態に到達する理由は事後的説明になりやすい。突然変異説は飛躍的変化を想定するが、複雑な器官が破綻せず成立する過程を示しにくい。獲得形質説も部分的変化は説明できても、生物全体の方向性や統一性を説明できない。

これらの理論に共通する限界は、進化を原因と結果の対応関係として捉える点にある。実際の進化は不可逆であり、同じ条件が完全に繰り返されることはない。現代進化学で言う収斂進化は、異なる系統が似た環境条件のもとで似た解に到達する現象として確認されているが、そこでも生成の側は十分に語り尽くされていない。

ベルクソンは、進化を生命全体が内側から展開していく運動として捉え、因果論だけでは説明できない分岐と創発を強調した。進化論諸説への批判は、生命を理解する枠組みそのものを問い返し、結果ではなく生成の時間に目を向ける必要性を示している。

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