Wednesday, December 31, 2025

お雇い外国人 グイド・フルベッキ――六百円が示した国家の覚悟(明治初年 一八六〇年代後半から一八七〇年代初頭)

お雇い外国人 グイド・フルベッキ――六百円が示した国家の覚悟(明治初年 一八六〇年代後半から一八七〇年代初頭)

明治初期の日本において、月給六百円という俸給は、最高官僚に匹敵する破格の待遇であり、国家の明確な意思表示だった。この高給を受けたグイド・フルベッキは、単なる語学教師ではなく、西洋の国家観、法概念、宗教倫理、国際感覚を総合的に伝える知的顧問として位置づけられていた。明治政府が直面していたのは技術不足ではなく、国家や主権をどう理解するかという根本問題であり、フルベッキはその思考の前提を提供できる希少な存在だった。国籍や宗教より実力を優先する姿勢は、身分秩序から能力本位へと移行する近代官僚制の萌芽を示している。一方で邪宗門禁制が残る中、宣教師出身者を厚遇することは緊張も伴い、公式の肩書きは曖昧にされた。それでも政府は彼を重用し続け、六百円という俸給は、制度や
兵器ではなく知性への投資として、近代国家建設の覚悟を象徴していた。

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