Wednesday, December 31, 2025

死の影が消えるとき、人類が掲げた三つの願い。不死、幸福、神性。21世紀初頭

死の影が消えるとき、人類が掲げた三つの願い。不死、幸福、神性。21世紀初頭

二十世紀後半から二十一世紀初頭にかけて、飢饉、疫病、戦争という人類史の古典的課題は、科学技術と国際秩序の進展によって制御可能な問題と見なされるようになった。平均寿命の延伸と物質的豊かさの拡大により、人類は生き延びることから、どのように生きるかを問う段階へ移行する。その中で浮上した新たな目標が、不死、幸福、神性である。不死は老いと死そのものの克服を意味するが、人生の有限性を失わせ、意味や緊張感を希薄化する。幸福もまた、科学的に最適化されると一時的な快楽管理に還元され、持続的な充足から遠ざかる。神性の追求は、人間中心主義と結びつき、自然や生命を管理可能な対象とみなす発想を強化してきたが、その結果、生態系破壊や気候変動という限界が露呈している。これら三つの願
いは魅力的である一方、人間が人間であり続ける条件を揺るがす危険な理想でもあり、進歩の名の下で変質へ向かう可能性を示している。

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