2019年1月25日金曜日

エコ・フェミニズム

<エコ・フェミニズム>

エコロジカルな視点から女性を考えようとするもの。環境問題への新しい視点
として注目されている。「沈黙の春」著者のレイチェル・カーソンはその先駆
的な存在。

女性解放運動の只中でエコロジーへの関心と結び付いて生まれた。エコロジカ
ルな視点から女性の社会的な役割を考えることを「エコ・フェミニズム」と言
う。世界的に地球環境の悪化がクローズアップされ始めた1970年代半ばにこの
言葉は生まれた。
その先駆的な役割を果たしたのが、レイチェル・カーソンだ。
レイチェル・カーソンは60年代から自然との共生を世界に向けて訴えてきた。
彼女の代表著作「沈黙の春」は、今もエコフェミニズムの出発点として各国で
読み継がれている。
カーソンが目指した自然との共生は、自然を文明が支配する「西欧的な自然観」
とは異質なものだった。
欧米のフェミニストにとってエコロジーへのアプローチは西欧近代の「文明と自
然」と言う二元論から脱却だった。文明に依拠した生産活動に関わる男、子ども
を産み育てる女という性的役割を規定している二元論を切った。
1970年代の初めに女性らのベトナム戦争抗議運動の中から「戦争は最大の環
境破壊」「ジェノサイド(大量殺害)による生命危機」がクローズアップされる。
また環境汚染が深刻化していく中で、女性らの運動にも科学技術批判の視点が盛
り込まれて行く。
こうした女性らの意識改革は、80年にデンマークで開かれた「国際婦人年NGOフォ
ーラム」では南北問題を女性の抑圧と環境破壊としての議論に火をつけた。
またイギリスで82年からの10年以上にわたって展開された「グリーナムの核基地
撤去を求めた座り込み闘争は、エコフェミニズムに根ざした環境保護運動として
世界的に知られている。
エコ・フェミニズムに大きなインパクトを与えたのは86年に起きた「チェルノブ
イリ原発事故」だった。東西ヨーロッパの広範囲の地域に放射能汚染をもたらし、
年々その深刻さ(日本で関心薄い。原発外交の失敗の大きな要因)が明らかになっ
ていく原発への危機意識を高めたのは女性らだった。
チェルノブイリをきっかけに世界のエコ・フェミニズムのネットワークは大きく
広がり世界各国で環境問題への新たな視点を提示するとして注目されてきた。
日本でも94年に「女性と環境」をテーマにしてきたヨーロッパの女性らとのシン
ポジウムが開催された。
エコ・フェミニズムの流れの中には、地球環境の劣化をもたらした産業社会が男
社会として構築されてきたことへの批判も込められているのだ。
男・産業社会が見落としてきたものを洗い出し、その欠点をエコ・フェミニズム
の中に見出す事もできる。原発に限らず、生活由来の環境意識は明らかに女性の
方が高い。エコロジー視点からでなくても、食、空気、水と言った環境・命への
問題意識は生物としてふつうの感覚から生まれてくる…。

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