今更いうまでもなく、廃棄物は持ち込む場所によって処理費用を払う場合と、逆に有価物としてお金をもらえる場合がある。最近、廃棄物の種類によっては、これまでお金を払って処理してもらっていたのが、有価物として取引され、お金がついてきたりするケースが出てきた。たとえば廃タイヤがそうだ。サーマルリサイクルについていえば、セメント工場(セメント焼成用)に持ち込むと、1本につき40~60円の処理費用が必要だった。
それが製鉄所に持っていくと、有価物として買い取ってもらえるのだ。 この背景には、99年2月から新日本製繊の広畑製鉄所で廃タイヤを転炉に投入して製鉄燃料にする新しいリサイクル処理の実証運転が終了、本格稼働移行で廃タイヤの需要が増大したことがある。ちなみに製鉄所では溶鉄製造設備にカットタイヤ投入設備を取り付け、廃タイヤに含まれるカーボンブラックなどを還元剤として、スチールロートは溶鉄原料、合成ゴムはガス化して吹き込みガスに利用する。これにより廃タイヤのサーマルリサイクルは一気に加速するだろう。 しかし、廃棄物のサーマルリサイクルはリサイクルの最終手段。資源の有限性を考えた場合、マテリアルリサイクルや再利用を重視したいものだ。概ね廃タイヤのリサイクルはマテリアル36%、サーマル51%前後。マテリアルでは再生ゴムや更生タイヤのほか、道路舗装材やマットなど。残りは東南アジアに中古タイヤとして輸出され利用されている。マテリアルリサイクルが普及するためにはリサイクルされた再生品の市場との折り合い、つまり価格、品質、見た目が従来製品と同等、あるいは優れていることが前提。さらに一方では、JISの規格化も重要だろう。でないと、廃タイヤも焼却主義の波に呑み込まれてしまうのは必至。
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