Sunday, June 23, 2019

海洋浄化ビジネス、拡大中…。

<日本発の多様な生物が海を渡り、世界各地で悪さしている>

時折、TVや新聞で海外からやって来たヒアリや毒グモ等の外来種についての危険性を報道しているが、その一方で意外と知られてないのが、日本の多様な生物が海を渡り、各国で生態系破壊、産業活動の妨害等をもたらしている事例は少なくないことだ。国境を越える外来種モンダイは、グローバル化した貿易等が広がるにつれ、深刻化している。

●海の生態系や水産業に大打撃近年、廃プラによる海洋汚染、放射能水垂れ流し等、国際的なニュースとして話題を呼んでいるが、以前から問題視されているのが多様な生物による海の生態系破壊や海洋・水産業の被害等である。ニュージーランド南島のムール貝の養殖業者の間では、日本産ワカメ被害が尋常ではないと言う。「せっかく育てたムール貝が台無しだ」と非難の声が絶えない。2017年時点の調査では国全域に被害拡大中だ。養殖中のムール貝の周りに日本産の褐色のワカメがぶら下がり根を張る。ムール貝は海水を取り込めなくなり、窒息死したり、生育不良になったりして出荷困難の場合も。他の区域でもワカメ以外の日本の在来種が大暴れしていると聞く。米国では「クズ」やら「オオハリアリ」やらのメイド・イン・ジャパン大活躍中だ。

●バラスト水による被害世界各地で、船舶を安定走行させるために積み込むバラスト(重し)水による被害も見逃せない。日本の出港地でバラストタンクに積み込まれた海水が、寄港地等で排水される。混入していた日本産の生物が外来種として、前述のように現地の生態系や水産業に悪しき影響を与えている他に、現地の人の健康被害の発生までもたらしている。バラスト水が原因とみられる外来生物による被害事例。日本等から持ち込まれたヒトデによる豪州の養殖ホタテ、カキ被害。東欧由来のゼブラ貝の増殖が原因で米国・五大湖沿岸の発電所の取水口の閉鎖。メキシコ湾に移入されたコレラ菌により南米で100万人が感染して、1万人死亡した事例がこれまでに挙げられている。

●バラスト水対策の市場規模2兆円現時点では被害は顕在化こそしていないが、今後の気候変動やGDP至上主義の経済活動の活発化、工業化・都市化による水質汚濁等に拠る生物の生育環境が変化すると新たな被害が発生する恐れも高いのでは。国際海事機構(IMO)では、2004年2月には「バラスト水規制条約」を採択。同条約では、09年以降に新造船は、バラスト水を適正に処理する設備を備えることを義務付けている。「この処理装置は世界でも2兆円以上の需要が見込まれる」(エコビジネスネットワーク調べ)その他、生物移動による被害対策は、計り知れない市場が創出されるのは間違いないと読む。環境技術立国の日本の海洋での商機だ。

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