2024年8月19日月曜日

リサイクル・マイン・パーク構想 2001年2月




1. 日本の非鉄金属自給率とリサイクルの必要性
日本の非鉄金属自給率は年々減少し、平成5年度には0.3%となり、海外鉱石への依存が増加しています。これにより、廃棄物処分場の逼迫と地上資源の有効利用の必要性が高まっています。リサイクルによる金属資源の循環利用は、持続可能な経済活動のために重要視されています。

### 2. リサイクル・マイン・パーク(RMP)構想
平成5年に提唱されたリサイクル・マイン・パーク(RMP)構想は、鉱山や精錬所の施設・技術を活用し、廃棄物の再資源化を推進することを目的としています。地域コミュニティとの調和を図りながら、金属資源の循環利用と環境保全に寄与することを目指しています。

### 3. 宮城県鶯沢町の取り組み
宮城県鶯沢町は、かつて鉛亜鉛鉱山で栄えた地域で、鉱山閉山後には衰退しました。しかし、現在はその鉱山技術を活用し、「細倉マインパーク」を開設して観光資源とし、地域活性化を図っています。さらに、再資源化施設を一般に公開することで、新たな観光資源としての活用も検討されています。

### 4. シュレッダーダストのリサイクル
シュレッダーダストは、年間約120万トン発生し、その多くが埋立処分されています。しかし、銅、鉛、亜鉛などが含まれており、これらの金属をリサイクルすることで資源の安定供給が可能となります。特に、非鉄金属のリサイクルは、省エネルギー効果も期待されており、リサイクル・マイン・パーク構想において重要な位置を占めています。

### 5. 神岡鉱業と日鉱三日市リサイクルの事例
岐阜県吉城郡に所在する神岡鉱業では、認定の前年(1994年)から自動車用バッテリーのリサイクルを開始し、鉛、金、銀、プラスチックを回収・再資源化しています。富山県黒部市にある日鉱三日市リサイクルでは、シュレッダーダストの焼却処理を行い、亜鉛、銅、鉛を回収する製錬プロセスを展開しています。これらの施設は、リサイクル法の施行に対応した取り組みとして注目されています。

### 6. 富山県での経済性評価と課題
富山県が1998年度に行ったシュレッダーダスト処理事業の経済性評価では、金属回収コストが地金販売収入を上回るため、事業は赤字となっています。しかし、シュレッダーダストの処理量を倍増させることで、経済的に成り立つ見込みが示されています。このため、廃家電やOA機器の受け入れ拡大が検討されています。

### 7. 東北地方でのRMP事業
東北地方、特に秋田県北鹿地域では、RMP事業を地域振興事業として位置づけています。秋田県大館市の花岡鉱山と小坂町の小坂製錬所では、家電リサイクル事業が進行中であり、秋田、青森、岩手の3県を対象に、テレビや冷蔵庫などの回収とリサイクルが行われています。廃家電の収集システムが整えば、リサイクル法の施行に合わせて工場が稼働する予定です。

### 8. 宮城県鶯沢町の家電リサイクル事業
宮城県鶯沢町では、家電リサイクル工場を旧細倉中学校跡地に建設し、地域振興を図る「環境と調和する地域づくりプラン」を策定しています。三菱マテリアルを中心に家電メーカーが新会社を設立し、年間30万台を処理する予定です。エコタウン認定を目指し、リサイクル施設の整備が進行中です。

### 9. リサイクル・マイン・パーク構想の意義と今後の展望
RMP構想は、経済的なメリットと地域再生への期待から注目されています。既存の鉱山施設を活用することで、低コストでインフラを整備し、迅速に事業を展開できる利点があります。今後の動向が注目されるところです。

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### 2020年代以降の現状
神岡鉱業株式会社(岐阜県飛騨市)は、2021年にISO14001とISO45001を取得し、サステナビリティと環境安全を強化しています。2023年には新しい鉛リサイクル技術を導入し、地域社会との連携を深めています。
JX金属三日市リサイクル株式会社(富山県黒部市)は、2020年にJX金属グループの一部として再編され、2021年からは電子基板やシュレッダーダストのリサイクル技術を強化し、2022年には新たなプロセスを導入しました。これにより、リサイクル効率が向上し、2024年に向けてさらなる技術革新が計画されています。

### 日本のリサイクル・マイン・パークの現状
2020年代以降、日本全体でのリサイクル・マイン・パーク(RMP)構想は、環境保全と地域経済の再生を両立する重要なプロジェクトとして進展しています。特に、廃棄物の再資源化と地域社会の活性化を目的とした取り組みが各地で強化され、先端技術の導入や地域連携が進んでいます。こうした取り組みは、持続可能な社会の実現に向けて日本のリサイクル政策の柱となっています。




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