39-環境破壊ーまとめ-1997年10月
1. 国内ほ乳類種の半数が絶滅の危機
日本ほ乳類学会の調査によると、日本国内と周辺海域のほ乳動物174種のうち、約80種が絶滅の危機に瀕している。絶滅種にはニホンオオカミなど5種、絶滅危惧種にはイリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなど22種が含まれる。また、クジラ目の41種のうち、ヒレナガゴンドウが絶滅し、シロナガスクジラなど23種が絶滅寸前の状態である。
2. 世界の自然林の消滅
世界自然保護基金(WWF)の報告によると、文明発生時期である8000年前と比べて、世界の自然林は約62%が消滅している。現在の自然林面積は301億4400万ヘクタールであり、特にアジア太平洋地域では88%が消滅している。このまま森林消滅が続けば、50年後にはマレーシアやタイなどで自然林が完全に失われる恐れがある。
3. エルニーニョ現象と異常気象
1997年8月のデータによれば、ペルー沖の太平洋赤道域の平均海面水温が平年より3.1度高く、1982-83年のエルニーニョ現象と同規模と予測されている。この影響で、中国やインドネシア周辺で異常気象が発生し、世界的に農産物市場にも悪影響を与えている。
4. 国内の大気汚染の悪化
環境庁のNOx測定結果によると、全国の幹線道路沿いにある373の測定局のうち、132カ所(35.4%)で環境基準を超過している。また、住宅街やオフィス街にある一般測定局でも1461カ所中53カ所(3.6%)が基準未達成であり、大気汚染が深刻化している。
5. 中国の大気汚染と酸性雨
中国では急速な経済成長に伴い、エネルギー消費が増加し、特に石炭使用による大気汚染が深刻化している。SOxや粉塵の濃度がWHO基準を大きく超え、都市部では大気汚染が原因とみられる健康被害が広がっている。また、酸性雨が全国の29%に影響を及ぼし、農産物や林産物の収穫に大きな損失をもたらしている。
7. 上海市の環境対策
上海市では、自動車の急増による大気汚染が深刻な問題となっており、工場からの排出ガスに対する規制強化が進められている。特にSOxの排出削減が重要視されており、低硫黄石炭の使用や排煙脱硫装置の導入が推進されている。また、国有企業の環境事業会社の設立など、環境保護産業の発展が図られている。
8. 日本の地下水汚染問題
神奈川県座間市では、地下水の保全条例が議論されているが、地下水汚染の原因特定や地域間の協力が課題となっている。特に工業活動による地下水汚染が懸念されており、自治体間での連携と規制の強化が求められているが、実施には多くの困難が伴っている。
10. 中国での炭素循環調査
中国では、海洋中の炭素循環に関する調査が行われ、年間約30億トンのCO2が海洋に吸収されていることが確認された。この調査結果は、地球温暖化対策の技術開発に活かされると期待されているが、同時に海洋環境の保護が求められている。
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