2024年8月29日木曜日

39-「上海の環境対策」-1997年10月-環境ニュース

39-「上海の環境対策」-1997年10月-環境ニュース

中国の上海市は、急速な都市化と経済成長により、深刻な環境問題に直面しています。特に、自動車の急増に伴う大気汚染が大きな問題となっており、都市生活の質や市民の健康に悪影響を及ぼしています。上海市は、中国でも特に経済が発展している都市であり、人口密度が高く、自動車の普及率も高いため、大気汚染の問題が顕著です。

上海では、自動車の急増が大気汚染の主な原因となっています。自動車の排気ガスには、窒素酸化物(NOx)や微小粒子状物質(PM2.5)などの有害物質が含まれており、これらが大気中に放出されることで、都市全体の空気質が悪化しています。特に、交通量が多い市内中心部では、これらの物質の濃度が高く、スモッグの発生が頻繁に見られるようになっています。

上海市政府は、この深刻な大気汚染に対処するため、工場からの排出ガスに対する規制を強化しています。特に、二酸化硫黄(SO₂)や窒素酸化物の排出を削減するために、低硫黄石炭の使用が推奨されており、さらに、工場には排煙脱硫装置の導入が義務付けられています。

上海市では、環境問題への対応を経済成長と結びつけるため、環境保護産業の発展にも力を入れています。具体的には、国有企業内に環境ビジネス企業を設立し、環境保護関連の技術や製品の開発・販売を推進しています。これにより、環境保護と経済成長を両立させる新たなビジネスモデルの構築が図られています。

また、上海市は、自動車による大気汚染を抑えるため、公共交通機関の拡充や自転車利用の促進といった交通対策も進めています。例えば、地下鉄やバスのネットワークを強化し、車両の排ガス基準を厳格化することで、都市全体の大気質を改善しようとしています。

上海市は、大気汚染問題に対処するための多岐にわたる対策を講じています。工場の排出ガス規制や低硫黄石炭の使用推進、環境ビジネスの育成など、環境保護と経済発展を両立させる努力が続けられています。また、交通対策を通じて自動車による大気汚染を抑制し、市民の健康を守る取り組みも進んでいます。しかし、上海市が直面する環境問題は依然として深刻であり、さらなる努力が求められています。

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