75号-環境技術-まとめ-2000年10月

1. 揮発性有機化合物（VOE）の処理技術
ハザマが開発した「EGG工法」は、地下水を電極で囲み通電することで揮発性有機化合物（VOE）と高濃度油を同時に除去できる技術です。この工法では、地下水中のVOEを効率的に気化させ、環境への負荷を低減します。従来の技術では対応できない広範囲な汚染に対しても有効であり、特に都市部の汚染地下水の処理に適しています。この技術の導入により、汚染地域の再生が促進され、環境保全の面で大きな貢献が期待されています。

2. 医療廃棄物処理技術
大成建設は、医療廃棄物を一般廃棄物と同等のレベルまで無害化する処理技術を開発しました。この技術により、医療機関から排出される廃棄物がより安全に処理されるだけでなく、処理コストも削減されます。また、この技術は、焼却処理を伴わないため、ダイオキシン類などの有害物質の発生を抑制する効果もあります。さらに、処理後の廃棄物は資源として再利用可能な状態になるため、廃棄物のリサイクル率向上にも寄与します。

3. 生ごみ・汚染土壌処理技術
住友金属工業が開発したガス化溶融炉は、生ごみや汚染土壌、焼却灰を高温でガス化し、同時に無害化する技術です。この技術は、廃棄物を処理する際に発生する有害物質を大幅に削減し、環境への影響を最小限に抑えます。特に、ダイオキシン類の発生を防ぐための高度な技術が採用されており、安全で効率的な廃棄物処理が可能です。この技術により、廃棄物処理施設の運営コストが削減されるとともに、処理能力の向上が図られます。

4. 排水処理技術
オルガノは、排水中のフッ酸を高純度で回収する新しい処理技術を開発しました。この技術により、工場や産業施設で使用されたフッ酸を再利用可能な状態にまで回収できるため、資源の有効活用が進みます。さらに、排水処理の過程で発生する有害物質の排出を抑制する効果もあり、環境への負荷を軽減します。この技術の導入により、企業のコスト削減が期待されるとともに、環境保護の取り組みが一層強化されることが見込まれます。

5. バイオマスエネルギー高効率転換技術
経済産業省は、バイオマスエネルギーの高効率転換技術を支援するため、新たな補助金制度を導入しました。この技術は、農林業から発生するバイオマスをエネルギー源として最大限に活用し、地域のエネルギー自給自足を促進します。また、化石燃料の使用を削減し、温室効果ガスの排出を抑える効果もあります。この取り組みにより、地域社会でのエネルギーコスト削減が期待されるとともに、持続可能なエネルギー供給の実現が目指されています。

6. 生分解性樹脂の開発
ミヨシ油脂は、生分解性樹脂をエマルジョン化する技術を開発しました。この技術により、従来のプラスチック製品に代わる環境に優しい製品の製造が可能となります。生分解性樹脂は、自然界で微生物により分解されるため、廃棄後の環境負荷が大幅に軽減されます。また、この技術は、包装材料や農業資材など幅広い分野での応用が期待されており、プラスチックごみによる環境汚染問題の解決に向けた重要なステップとなるでしょう。

7. 都市の循環型環境技術
愛知県と名古屋市は、都市廃棄物の循環利用と都市近郊の自然資源を活用する「循環型環境都市」の構築を目指しています。この取り組みは、廃棄物の再資源化やエネルギー回収技術の導入を通じて、持続可能な都市開発を促進します。また、住民参加型のリサイクル活動や、地域資源を活用したエネルギー自給体制の構築が進められており、地域経済の活性化と環境保全が両立するモデル都市として注目されています。

8. 排ガス処理技術の強化
中央環境審議会は、自動車の排ガス規制を強化するため、名古屋市とその周辺地域を新たに規制対象地域に加えることを提案しました。この措置により、NOxやPM2.5などの有害物質の排出が抑制され、地域の大気環境の改善が期待されています。さらに、自動車メーカーには排ガス処理技術の向上が求められ、技術革新が加速することが予想されます。このような規制強化は、健康被害の軽減と持続可能な都市環境の実現に寄与します。

9. ダイオキシン類の測定・分析技術
ダイオキシン類の測定・分析技術は、ここ数年で急速に進展し、測定機関の数が増加しています。特に産業廃棄物焼却炉や電気炉での測定が義務付けられたことで、ダイオキシン類の排出管理が強化されています。また、最新の測定技術により、より高精度なデータが得られるようになり、環境ホルモン問題への対応が進んでいます。これにより、環境リスクの低減とともに、関連する産業分野での安全性が向上しています。

10. 医療廃棄物の新処理技術
大成建設は、医療廃棄物を一般廃棄物と同等レベルにまで無害化する新たな処理技術を開発しました。この技術は、医療廃棄物を効率的に処理することで、廃棄物の安全性を向上させ、処理コストの削減にも寄与します。また、この技術により、焼却処理を必要としないため、ダイオキシン類などの有害物質の排出が抑制されます。さらに、処理後の廃棄物は再利用可能な状態にまで回収されるため、リサイクル率の向上にもつながります。