Saturday, April 5, 2025

静かなる監視者 1997年から2008年のチョイスポイントの軌跡

静かなる監視者 1997年から2008年のチョイスポイントの軌跡

チョイスポイントは、1997年に信用調査会社Equifaxから独立して設立されたアメリカのデータブローカー企業である。社会保障番号、運転免許証、住所履歴、財務情報など、個人に関する膨大な情報を収集し、保険会社、マーケティング会社、政府機関など多岐にわたる分野に提供していた。中でも特筆すべきは、連邦、州、自治体を含むおよそ7000の司法当局が顧客に名を連ねていたことで、チョイスポイントは事実上、国家規模の監視インフラの一部として機能していた。

しかし2005年、同社は約163000人の個人情報が詐欺的手法で取得されるという大規模な情報漏洩事件に見舞われ、少なくとも800件のアイデンティティ盗難が発生。連邦取引委員会はこの事態を重く見て、同社に1000万ドルの罰金と500万ドルの消費者補償を命じた。さらに2008年にも情報漏洩事件が再発し、追加で275000ドルの罰金が科された。

こうした問題を抱えつつも、同年チョイスポイントは情報サービス大手のリードエルゼビア社に41億ドルで買収され、LexisNexis Risk Solutionsに統合された。この統合により、チョイスポイントの持つ膨大なデータと監視機能は、より強化された形で活用されることになった。情報と監視が交錯する時代の前触れとして、チョイスポイントの歩みは静かに、しかし確実に社会の在り方を変えていった。

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