Saturday, April 5, 2025

見えざる開示 2013年のFacebook「いいね!」が暴く心の輪郭

見えざる開示 2013年のFacebook「いいね!」が暴く心の輪郭

2013年、ケンブリッジ大学とマイクロソフトリサーチが行った調査により、Facebookユーザーが無意識のうちに「いいね!」を通じて、自らの極めて個人的な情報を第三者に明かしている可能性が浮き彫りとなった。米国の約58000人のユーザーの「いいね!」履歴をもとに、研究チームはユーザーの性的指向、人種、政治的信念、宗教的傾向、知能指数、薬物使用の有無、さらには両親の離婚歴まで、驚くほどの精度で推定することに成功した。

驚くべき点は、これらの推定が、ユーザー自身がプロフィールに入力した情報ではなく、日常的に「いいね!」を押した投稿やコンテンツの履歴だけから導き出されたということである。単に好きな音楽や映画、読書傾向を示しただけで、内面の深層がアルゴリズムによって読み解かれることが可能なのだ。

この研究結果は、ソーシャルメディアにおけるプライバシーの脆弱さを強く示唆している。研究者ミハル・コシンスキーは、こうした情報の扱いには法的・倫理的な枠組みが必要であり、政治的介入が求められると警鐘を鳴らした。

私たちが軽い気持ちで押す「いいね!」の一つひとつが、心の輪郭を静かに映し出している。情報社会における自己開示の意味と、その危うさを改めて問い直す時が来ている。

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