Sunday, April 13, 2025

誰もいない街に降る光 2020年4月歌舞伎町

誰もいない街に降る光 2020年4月歌舞伎町

2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大によって、歌舞伎町はかつてない静寂に包まれていた。ネオンは消え、賑わいは影をひそめ、喧騒の記憶だけが漂っていた。緊急事態宣言により、飲食店もホストクラブも扉を閉ざし、人の流れは止まった。午前の時間帯にも夜の仕事帰りの人々は見られず、風だけが通りを歩いていた。

そんな中でも清掃員やティッシュ配りの青年、ビッグイシューを売る男が立ち続けていた。街の心臓がかすかに脈打つように、彼らの存在が沈黙の中に小さな生命の灯を灯していた。東京都や新宿区の職員は三密回避の呼びかけを行い、街の感染拡大を防ごうとした。

歌舞伎町の灯がここまで消えたことはなかった。戦後の焼け跡から生まれたこの街は、歓楽と混沌の象徴だった。その心臓が止まりかけた春――誰もいない街に、ただ、沈黙が降りていた。

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