ドイツの緑の哲学、都市政策を変える――1995年4月
1990年代のドイツは、冷戦終結と東西ドイツ統一の影響も残る中、環境政策の面で独自の進化を遂げつつあった。とりわけ注目されたのが、「エコロジカル・モダニゼーション(生態学的近代化)」という概念の浸透である。これは、経済成長と環境保護を両立させようとする政策理念であり、当時の日本ではまだ一般的でなかった考え方だった。ドイツではこの理念に基づき、従来の車社会からの脱却を目指して都市交通政策が転換され、自転車道の整備や公共交通機関の優遇、歩行者空間の拡充が積極的に進められた。
こうした動きの背景には、環境保護政党「緑の党」の台頭がある。同党は地方議会や連邦レベルで一定の政治的影響力を獲得し、再生可能エネルギーの導入促進や廃棄物削減政策を強力に推進した。また、環境税導入の議論が活発化し、税制面からも持続可能な社会への転換が図られていた。このような政策の方向性は、市民の高い環境意識と連動し、草の根の活動や地方自治体との連携によって支えられていた。
これらの取り組みは、日本の地方自治体にとっても大いに参考とされ、特に京都市や横浜市などが注目した。日本が経済至上主義から脱却しつつある時期において、ドイツの事例は一つの先進モデルと見なされ、今後の都市政策や環境税制度に影響を及ぼすものと期待された。ドイツの都市政策は、単なる交通の問題にとどまらず、社会全体の価値観を問うものとして、国際的にも注目を集めていた。
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