Saturday, August 30, 2025

地域熱供給システムの概要

地域熱供給システムの概要

地域熱供給システムは、熱供給源を一箇所に集約して集中管理することにより、個々の建物がそれぞれに熱源機を導入するよりもエネルギー効率を向上させ、大気汚染の抑制にも寄与する仕組みです。このシステムは日本でも早くから取り組まれており、1972年には「熱供給事業法」が成立し、1時間当たり5ギガカロリー以上の地域冷暖房システムに対して、事業認可や料金制度の面で通産省が優遇制度を設けています。20世紀の都市づくりにおいて、省エネ・低公害性は重要な要素となっており、1999年末現在で全国135地区で稼働しています。

未利用エネルギーの活用

地域熱供給システムにおいて、熱源にガス・石油ボイラーを使用する例が多いですが、最近ではエネルギー資源の枯渇問題や大気汚染など環境問題への対応策として、未利用エネルギーを活用するタイプが注目されています。例えば、下水道処理場の低温水熱やごみ焼却場の排熱など、従来はそのまま大気中や河川、下水などに放出されていたエネルギーを回収し、ヒートポンプで熱交換し冷暖房や給湯に利用する方法です。

国内の未利用エネルギーの状況

国内の一次エネルギーの約6割が排熱として大気中や河川、下水に放出されており、東京都区部には年間約43兆キロカロリーに上る未利用エネルギーがあります。これは都内で1年間に使う冷暖房や給湯など民生用の熱需要とほぼ同じ量です。日本地域冷暖房協会の試算によると、地域熱供給システムと未利用エネルギーを組み合わせた場合、エネルギー消費は約30%減少し、CO2は40~60%、NOxは60~80%削減されるとされています。

具体的な導入事例

後楽1丁目地区(東京都文京区)
熱源:未処理下水
事業者:東京下水道エネルギー
1994年7月から東京ドームを含む業務・商業地区約21.6ヘクタールに温水・冷水を供給しています。熱供給設備は電動ヒートポンプと蓄熱層で構成され、日本初の未処理下水を熱源とする熱供給事業です。

高崎市中央地区(群馬県高崎市)
熱源:地下水
事業者:東京電力
60メートル以深の地下水脈から揚水した地下水を利用した熱回収型のヒートポンプと蓄熱槽を組み合わせたシステムを採用し、市の中心地である中央地区のオフィスビルや公共施設など18.1ヘクタールに温・冷水を供給しています。

富山駅北地区(富山市)
熱源:河川水
事業者:北陸アーバン
富山市が再開発を進めている富山駅北側の地区約15.3ヘクタールにおいて、河川水を利用した熱供給事業を行なっています。熱供給設備は電動ヒートポンプで、深夜電力による蓄熱運転を行なっています。

札幌市厚別地区(札幌市)
熱源:ごみ焼却場排熱
事業者:北海道地域暖房
札幌市が1971年に開発したもみじ台団地および副都心団地を含む約139.5ヘクタールにおいて、ごみ焼却場の排熱を主要熱源とした熱供給を行なっています。熱供給プラントは厚別清掃工場に併設されており、71年に供給を開始しました。熱源の80%をごみ焼却排熱に依存しています。

これらの取り組みは、エネルギー効率の向上と環境負荷の低減に大いに寄与しており、今後の地域熱供給システムの発展に向けたモデルケースとなっています。

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