二葉あきこ ― 終戦のプラットホームに咲いた歌声 1940年代~1950年代
二葉あきこ(1915年広島県生まれ)は、戦前から戦後にかけて活躍した日本歌謡界の象徴的存在である。1939年に日本コロムビアからデビューし、透明感ある声と確かな発声で注目された。戦後直後の1945年、「夜のプラットホーム」が大ヒットし、焼け跡の中で帰還する人々の心を癒した。その歌声は、鉄道と共に再び動き出す日本の再生の象徴でもあった。1949年の「水色のワルツ」は希望と女性の抒情を織り交ぜた名曲で、暗い戦後を明るく照らす存在となった。同時期に活動した奈良光枝や渡辺はま子が技巧的な発声を重視したのに対し、二葉は感情の自然な流れを尊び、語るように歌った。その姿勢は後の美空ひばりや島倉千代子へと受け継がれていく。彼女の歌は、荒廃の時代に人々が"歌う意味"を再発見するきっかけとな�
�、昭和歌謡の根幹を築いた。静かな中にも確かな情感を宿すその歌声は、今もなお戦後の記憶と共に生き続けている。
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