「ヒートポンプのエネルギー活用」
ヒートポンプは、低温の熱源から熱エネルギーを取り出し、より高い温度の空気や水に熱を与えるシステムです。エアコンなどに最も普及している圧縮式ヒートポンプは、冷媒が外気などから熱を奪って蒸発する際に気化熱を吸収し、凝縮される際には逆に凝縮熱を放出するという相変化を利用します。凝縮され液化した冷媒は、減圧・減温されて蒸発器に戻されます。このサイクルを繰り返すことで暖房や給湯に利用されます。冷媒の流れを逆にして建物の中の熱を外に運び出すことで冷房にも使用できます。
一方、未利用エネルギーを熱源とするヒートポンプは吸収式と呼ばれるタイプです。水を冷媒に、臭化リチウムなどを吸収剤に使い、蒸発器内で熱源から熱を吸収し、蒸発した水は吸着剤に吸収されることで吸熱を回収します。吸着剤は水蒸気を吸収することで徐々に希釈され、吸収力が落ちるため、再生器で加熱し、水分だけを放出させます。ここで蒸発した水分も凝縮器で水に戻される際に凝縮熱を放出します。
国内の一次エネルギーの約60%程度が排熱や蒸気などとして捨てられています。さらに、河川、下水、地下水などは冬は外気よりも温度が高く、夏は逆に涼しいため、それらをヒートポンプの熱源に利用することで必要なエネルギーを低減することができます。特にガス方式のヒートポンプの場合、都市ガスは逆に夏季が需要のピークとなるため、電力需要のピークカット効果もあります。
都市計画において重要な要素のひとつである地域熱供給事業においても、未利用エネルギー活用型のヒートポンプ利用が増えており、全国34市区で導入されています。大都市部では特に、残り湯など温度の高い生活排水や産業排水が流れている下水が期待されています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算では、下水処理水として排出される水に含まれる熱量は年間47兆キロカロリーにも及び、一般家庭200万戸分の冷暖房を賄う計算となっています。
また、外気から熱源を得るヒートポンプの場合、外気温がマイナス15度以下になる地域では、熱交換器に付着した霜を除去するために逆サイクル運転を行う必要がありますが、未利用エネルギーは年間通じて温度がほぼ一定なため、このような問題は起こりません。
「地熱利用型のヒートポンプシステム」
最近では、地熱を利用した地中熱利用ヒートポンプ(GeoHP)が注目されています。地熱エンジニアリングが提案するこのシステムは、地下約10メートルに熱交換器を埋設し、水やブライン、エタノールなどの冷却液を循環させて、地中の熱を取り出したり、逆に熱を放出することで冷暖房を行います。地中で熱の授受を行うため、放熱用の室外機も必要なく、稼働時の騒音も非常に小さいという利点があります。
地熱といっても、地熱発電のように高温利用ではなく、低温の地熱資源を利用するため、特別な地熱地帯でなくどこでも利用できます。また、地域熱供給のような下水や河川から熱を得ることは個人では難しいですが、地熱利用型なら一般家庭でも導入可能です。
しかし、地中熱利用ヒートポンプは米国ではすでに数多くの実績がありますが、日本では数えるほどしか例がないとされています。NEDOでは、地熱利用ヒートポンプの普及促進に関する国際共同研究を実施しており、世界的にも注目される分野となっています。特に、地中熱の使い道として有効と考えられているのがロードヒーティングです。冬、雪深い地方では道路に積もった雪を溶かすため、従来は温水などを散布していましたが、その水が冷えて道路が凍結し、スリップ事故の原因となっていました。そこで、路面下に融雪パイプを埋設し、ヒートポンプの熱を流すことで路面の融雪を行うものが開発されています。クボタでは、融雪専用機としてヒートポンプの開発に取り組んでおり、水熱源と地中熱源、空気熱源の3方式につ�
��て提案しています。
地中熱源の利用方法はさまざまで、直接方式、ヒートポンプ方式、熱源併用ヒートポンプ方式などがあります。異物除去装置を設置するなどの対策が必要ですが、地中熱利用型は省エネの観点からも有効な手段となり得ます。
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