■「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の令和元年4月の施行に向けて、排出削減や再生利用の実施が義務付けられる食品工場やスーパー、レストラン、コンビニなどの食品関連事業者では、システムの構築が本格化しようとしています。
再利用に関しては、現時点では肥料化や飼料化などの手法が中心となりそうです。
しかしながら、これらの手法では肥料や飼料としての利用先の確保や、再利用品の品質維持、利用・販売先の確保など、適切な循環システムの構築までにはいくつかの障害があります。
特に、品質の問題は大きく、これが出口の確保や処理コストの増加、事業化の困難さなどにつながっています。
食品廃棄物再商品化法の施行に伴い、各地での取り組みが加速すれば、肥料や飼料の供給過多も予想され、こうした課題がさらに顕著になると考えられます。
そこで、肥料や飼料化とは別の再利用手法として注目を集め始めているのが、生ごみを誰もが利用できる電気や熱に変換するバイオガス発電です。
株式会社エキシーでは、無線を利用して効率的に生ごみを回収し、ガス化し、燃料電池により発電を行う独自のシステムを6年の歳月をかけて2000年に完成し、本格的な営業活動を開始しています。
■サテライトを現場に設置し、一括してガス化し発電する。
同社は1994年に設立され、代表取締役社長の藤原博夫さんは、元大手スーパーの環境対策部署に勤務し、生ごみ処理システムの開発を目的に脱サラして会社を立ち上げました。
新エネルギー開発支援や産業構造改善支援、新産業創造研究開発補助事業などの認定や補助を受け、開発を進め、完成したのが「食品廃棄物ガス化発電システム GETS」です。
同社が開発・販売開始した「食品廃棄物ガス化発電システム」は、生ごみの収集とガス化発電の2つのプロセスから構成されています。
生ごみの収集プロセスでは、スーパーや食品工場ごとに生ごみを貯蔵し、液状化するコンテナタイプの設備「サテライト」を設置します。
完全密閉式のこの設備では、生ごみを破砕し、液状化し、その体積を1/3に減少させます。
これをホースで回収する仕組みです。
サテライトのサイズは貯蔵容量が25トンのタイプで、幅2440mm × 奥行2990mm × 高さ2590mmです。
コンテナ式のため、特別な工事が不要で、移転や設置場所の変更も簡単に行えます。
また、閉鎖型のため臭気が外に漏れにくく、ユーザーは生ごみを投入するだけで煩雑な管理が必要ありません。
1日当たりの処理能力は1〜80トンで、さまざまなサテライトを用意しています。
割り箸やつまようじ、ビニール袋、紙類が混在したごみを、自動的に生ごみと可燃ごみに分別する高圧破砕分別型サテライトも開発しました。
また、生ごみが多く発生する現場から離れた場所にサテライトを設置する場合に備え、サテライトとホースをつなげる生ごみ投入装置も開発し、オプションで取り付けられるようにしました。
投入された生ごみはエア式でサテライト本体へと即座に搬送されるため、運ぶ手間だけでなく、現場での悪臭発生を抑制する効果もあります。
こうして各サテライトで液状化されたものは、一定量が貯まった時点で発電センターに運ばれます。
このガス化発電プロセスは、バイオガス化設備、排水処理設備、燃料電池で構成されます。
まず、液状化した生ごみを貯留槽に貯め、特殊な触媒を利用してメタンを主成分としたバイオガスを生成します。
脱硫を施した後、改質器により水素を取り出します。
これに空気中の酸素を反応させ、電気と熱エネルギーを生み出す仕組みです。
バイオガス化設備から排出される排水は、バイオリアクタにより再度ガスを生成することも可能です。
燃料電池については、東芝(米・ONS班製)と提携しています。
ガス化発電プロセスでは、液状化した生ごみ20トン/日(含水率80%)で、1日当たり約4800kWの電気(一般家庭約50軒分)、約1万7(,(X)MJの熱(家庭用ユニットバス約500〜の使用分)が得られます。
これらのエネルギーは一部は内部で消費されますが、多くの場合、さまざまな施設で利用されます。
また、脱水ケーキ約1.8トン、処理水約16トンも発生しますが、燃料電池から出る純水はミネラル化装置を通じてミネラル水として利用できます。
「肥料や飼料に比べると、利用計画も立てやすく、出口の確保という面では、あまり苦労がないと思います」(吉田さん)。
■IT利用により広域型収集システム構築が可能に。
GETSでもうひとつ大きな特徴となっているのが、工業用(レデイコン・システム)による遠隔監視・指令システムです。
これにより、チェーン展開しているスーパーや地方自治体が組合化しようとする際に、広域型収集システムの構築が格段に容易になります。
各サテライトには、タンク貯留状態などを監視し、故障などを監視・制御するマイコンと通信装置が装備されています。
バケット通信網、電話回線、専用線またはISDN回線を通じて通知されます。
これにより、タンクの貯留状態を見ながらの効率的な回収車の配車スケジュール作成や、どれくらいの量がいつ投入されたのかの履歴管理が行えるほか、故障した場合にも故障箇所が即座にセンターで把握できるなど、サテライトが設置された現場ではこれらのトラブルに煩わされることはありません。
同時に、マニフェストを考慮した回収量の帳票作成(請求書など)が行えるのもメリットです。
「オプションにより、サテライトに認識装置を装備することもできます。
IDを発行することで、ごみ投入者の確認や管理が可能になります。
また、サテライトが誰でも入れるような場所に置いてある場合でも、IDを打ち込まなければ生ごみを投入できないようにすることで、不法に投入されることも防げます」(吉田さん)。
このシステムは、同社が生ごみ処理システムを刑務所に納入する際に開発したものです。
ただし、複数の発生場所をつなぎ、処理を共同化し、効率的な一括処理システムを模索する中で大きな効果を発揮すると考えられます。
同社では、これら一連のシステムをパッケージ化して販売しています。
管理などは行わず、あくまでシステム・機器の製造・販売に従事します。
ガス化発電プロセス時点での処理能力は20トン/Bタイプで、サテライト、発電プラント、管理システムなどを含めて約12億〜13億円程度の価格設定です。
適用先としては、食品工場、工業団地、ホテルチェーン、テーマパーク、ショッピングセンター、商店組合、道路サービスエリアのほか、自治体や空港、集合住宅などを検討しています。
運営形態はクライアントに委ねられますが、民間施設、自治体施設、PF1、第3セクター、組合形式での運営が予定されており、維持形態以外は株式公開も視野に入れて提案しています。
内部での全国1250カ所の発電センター建設を1年以内に見込んでいます。
先日行われた説明会では、早速、食品工場からの引き合いがあり、2001年春ごろには第1号システムを納入する予定です。
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