凛とした存在感と、都市の淵に立つ女 - 篠ひろ子と七〇年代日本の女性像(一九七〇-一九八〇年代)
篠ひろ子(一九四八年生まれ)は、高度経済成長後の日本において、テレビドラマや映画を通じて「働く女性」「家庭と社会のはざまで生きる女性」を象徴的に演じた女優である。映画からテレビへの転換期、女性の社会進出が急速に進む一九七〇年代、彼女の演技は現代的で知的な女性像を提示した。『時間ですよ』(一九七三)で注目を浴び、以後『金曜日の妻たちへIII』などで都市生活者の複雑な感情を繊細に表現した。上品さと強さを兼ね備え、時代が求めた「自立する女性」の新しい姿を体現したのである。
同時代の加賀まりこが都会的退廃、松原智恵子が清純を代表したのに対し、篠ひろ子は中流層の成熟した女性を現実的に描いた。その姿勢は、離婚率上昇や核家族化、女性の社会的役割拡大といった時代の潮流を背景に、共感を集めた。結婚後、俳優活動を控えたものの、彼女の演じた女性像は"凛として立つ"生き方として今も語り継がれている。
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