海をわたる獅子舞-愛媛県-1973年頃
1973年頃、愛媛県の漁村では、獅子舞が船に乗って海を越え、隣村へと渡る独特の風習があった。この「海をわたる獅子舞」は、船上で波に揺られながら演じられるという、ユーモラスでありながらも荘厳な儀式だった。単なる余興ではなく、海を隔てた共同体同士の神聖な交流であり、自然の力と人の営みが一体となる信仰的な時間がそこに流れていた。海という厳しい自然環境に生きる人々にとって、この舞は生きることの祝福であり、豊漁や安全を祈願する象徴だった。しかし、高度経済成長とともに交通網が整備され、若者の都市流出も進むなか、こうした風習は次第に姿を消していった。現在では行われておらず、記録のなかでしかその姿をとどめない。だが、波にゆらぐ船上の獅子舞というイメージは、かつて人と自然が�
�密だった時代の記憶として、今も深い印象を残す。海と神と人とが一つの風景をつくりあげた瞬間は、現代の私たちに地域文化の尊さを静かに問いかけている。
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