Saturday, October 18, 2025

灯をともす一票―1977年、政治を遠くから近くへ(1977年)

灯をともす一票―1977年、政治を遠くから近くへ(1977年)

1977年に発表されたこの対話記事は、政治不信の時代における「再び関わる勇気」を描いたものである。語り手はかつて棄権主義を誇りとし、「政治に背を向ける自由」を信じていた。しかしロッキード事件(1976年)による腐敗露呈と社会の停滞を経て、「信じられないからこそ関わる」という考えに至る。会話の舞台は喫茶店。若者たちが「政治は生活の延長にある」と語り合い、思想ではなく実感としての参加を模索する。新自由クラブが掲げた"政治を生活へ"という理念は、まさにこうした空気の中から生まれた。1976年の総選挙で登場した新自由クラブは、保守二大政党の狭間に立ち、理想と現実の狭間で揺れながらも、政治への再接近を象徴する存在となった。この随想は、失望の時代を生きる人々が、再び小さな一票に希
望を見出そうとした瞬間を静かに記録している。

No comments:

Post a Comment