中国料理店「快活林」殺傷事件 ― 1994年8月 歌舞伎町

中国料理店「快活林」殺傷事件 ― 1994年8月 歌舞伎町

1994年8月、新宿・歌舞伎町の中国料理店「快活林」に中国マフィアが刃物を持って乱入し、従業員や客を次々に襲撃する事件が発生した。複数の負傷者が出て、繁華街のただ中で展開された暴力は世間に大きな衝撃を与え、日本の治安神話を揺るがす象徴的出来事となった。背景にはバブル崩壊後に急増した出稼ぎ中国人や不法滞在者の存在があり、福建省や東北地方出身のマフィアが日本国内で組織を広げ、薬物や売春、不法入国斡旋などに進出していた。既存のヤクザと利権を巡り摩擦を深め、中国マフィア同士の抗争や暴力団との衝突が表面化したのがこの事件である。当時の歌舞伎町は「眠らない街」として賑わい、飲食店や風俗店が密集していたが、その繁栄の裏で外国人組織が台頭し、従来の支配構造が揺らぎつつあった�
��また1990年代前半は「チャイナタウン化」と呼ばれるほど中国人経営のクラブやレストランが増え、国際化と無秩序化が同時に進行していた。快活林事件はそうした時代の変化を象徴し、警視庁が外国人犯罪対策を強化する契機となり、後の歌舞伎町浄化作戦につながる流れを生んだ。