合併処理浄化槽の対話 —1995年の水をめぐる協働の時代—

合併処理浄化槽の対話　—1995年の水をめぐる協働の時代—
1995年、日本は公害の時代を越え、生活排水という新たな環境課題に直面していた。下水道の整備が遅れ、家庭排水が河川を汚染する中で登場したのが「合併処理浄化槽」である。し尿と生活雑排水を同時に処理できるこの装置は、国や自治体、企業、市民の連携によって普及が進んだ。岡山県では児島湖流域の条例化が全国初の試みとなり、「地域ぐるみで水を守る」姿勢が現れた。名古屋のフジクリーン工業は窒素除去型の高性能浄化槽を開発し、企業の技術力が社会貢献の象徴とされた。一方、日本リサイクル運動市民の会は独自の浄化システムを開発し、市民が主導して環境改善に取り組んだ。阪神・淡路大震災を経て、分散型インフラの重要性も意識されるようになり、地域自立型の水管理が模索された。行政・企業・市民�
�協働して環境を守るこの取り組みは、のちの循環型社会政策の原点となった。