Monday, October 13, 2025

都市の緑を取り戻す市民の手――せたがやトラスト協会と都市型ナショナルトラストの台頭 1996年3月

都市の緑を取り戻す市民の手――せたがやトラスト協会と都市型ナショナルトラストの台頭 1996年3月
1990年代の日本では、地方の自然保護から都市の環境再生へとナショナルトラスト運動が拡大した。東京・世田谷で設立された「せたがやトラスト協会」はその象徴であり、開発圧力の高い都市で斜面林や屋敷林などの緑地を市民と行政の協働で守る仕組みを構築した。バブル崩壊後、土地の経済価値よりも「生活環境としての価値」が重視され、緑地が地域の文化的資産として見直された時代である。協会の活動は、寄付やボランティアを通じて保全を進め、行政が支援する形で「緑の民主主義」を実現した。また、1992年の地球サミット以降、「持続可能な開発」理念が広まり、環境基本法や環境基本計画が政策化されたことも追い風となった。この都市型ナショナルトラストは、「自然を守る」から「まちを再生する」運動へと発�
��し、地域が自ら環境をデザインする新しい自治の形を示した。

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