スチール缶リサイクル率世界一―資源循環型社会への転換点 1996年3月

スチール缶リサイクル率世界一―資源循環型社会への転換点　1996年3月
1990年代の日本は、バブル崩壊を経て環境と経済の両立を模索する時代にあった。その中でスチール缶のリサイクル率が世界一を達成したことは、産業と市民社会が連携して形成した循環型社会の萌芽を象徴する出来事だった。背景には、1970年代の公害問題以降に進んだ環境政策の成熟と、1991年の廃棄物処理法改正、1995年の容器包装リサイクル法制定などの制度的支えがある。製缶メーカーや鉄鋼業界は再利用技術を確立し、自治体は分別収集と地域回収を整え、消費者の意識改革も進展した。スチール缶リサイクル協会の「スチールは何度でもリサイクルできる」という啓発活動も功を奏し、1996年には約80％という高いリサイクル率を達成。環境保全と技術革新が両立可能であることを示したこの成果は、後の家電・自動車リサイ�
�ル法へとつながり、日本が「リサイクル先進国」と呼ばれる基盤を築いた歴史的転換点となった。