暁の破綻を予見して―資本論・19世紀
マルクスは、資本主義が自らの内に危機の種を抱える体制であると喝破した。生産が拡大しても、労働者の賃金は抑制され、購買力が追いつかないために過剰生産が生じる。つまり、資本の論理は富を生み出すほど市場を飢えさせ、需要と供給の不均衡が周期的に恐慌をもたらすのである。十九世紀の産業革命後、世界経済は実際に大規模な危機を経験した。とくに1873年の恐慌では、鉄道投資の過剰と金融不安が重なり、欧米を覆う長期不況が発生した。過剰蓄積した資本は行き場を失い、利潤率は低下、投資は停滞した。資本主義はこれを克服するために信用膨張や新市場の開拓を進めるが、それもまた新たな不均衡と負債を生み出す。危機は偶発ではなく、資本主義の自己矛盾から必然的に生まれる運動であるとマルクスは見抜�
�た。こうして彼は、資本主義が繁栄と崩壊を繰り返す宿命的な構造を、歴史の中に透視したのである。
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