森林環境税導入に見る"共同体的環境倫理"(2007年前後)
2000年代半ば、地方自治体では「地域が自ら環境を守る」仕組みづくりが注目されていた。石川県が導入した森林環境税は、住民や企業が税を負担し、その財源で間伐・植林・林道整備などを行う制度である。背景には、放置森林の増加や国の画一的な森林計画への不満があり、地域主導の自然保全への転換が求められていた。加賀・能登地域では間伐量を従来の4倍に拡大し、防災・水源保全を兼ねた森林再生が進められた。この制度の思想的核心は、「自然を公共財として守る共同体倫理」にある。森林を国家の所有物ではなく地域の共有資産とみなし、住民自らの手で環境を維持するという理念だ。これは中央集権的な環境行政への批判であり、地域自治の再生を意味していた。石川県の取り組みは後に他県にも波及し、全国的な�
��林環境譲与税制度の先駆けとなった。地域が環境政策の主体となる新たな公共思想を示した点で、2000年代の日本における"環境と自治の融合"の象徴的事例といえる。
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