廃食油が都市の地下資源になるまで 廃食油を原料とした再生重油(1990年代・昭和シェル石油)
1990年代の日本では外食産業の拡大や家庭での揚げ物調理の普及により大量の廃食油が発生しその多くが焼却処理や不適正処理に回されていた。飲食店からの廃油は年間数十万トン規模に達し処分費の高騰最終処分場の逼迫下水道詰まりや不法投棄といった社会的問題を引き起こしていた。この頃地球温暖化問題への関心も急速に高まり化石燃料への依存を減らす資源循環型のエネルギーが求められていた。
こうした状況で昭和シェル石油が進めたのが廃食油を精製して再生重油として再利用する取り組みである。回収された廃油には食品残渣や水分などの不純物が多く含まれるため加熱脱水濾過薬剤処理などの工程を経て燃焼性や粘度を整え工場ボイラーなどで利用できる燃料へと仕上げていく。この技術は廃棄物処理とエネルギー供給を結びつけるもので生物由来油脂の特性から燃焼時のCO2はカーボンニュートラルとして扱われ廃棄物削減と温暖化対策の双方に資すると評価された。
また自治体や飲食店と連携した廃食油の回収ネットワークづくりも進み地域内での資源循環モデルが形成された。これらの技術と実証はのちに全国に広がるバイオディーゼル燃料(BDF)の普及を支える土台となり都市生活から生まれる廃油が新たな資源として再評価される契機となった。
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