夢を紡ぐ廃棄物産業の声―1995年9月
1995年、日本はバブル崩壊後の不況に揺れつつ、下水道普及率が五割を超え、環境規制が強化されていた。廃棄物処理業は裏方から「環境産業」へと位置づけが変わり始め、リサイクルや分別の普及が社会の意識を変えていた。日建総業の開発事業部部長・城木孝照は、同社がし尿処理から出発し、米軍施設、自衛隊、都市下水道整備などを経て事業を拡大してきた歩みを振り返る。そして「需要は確実にある安定産業だが、ただ仕事をこなすだけでは不十分。会社全体のレベルアップが不可欠だ」と語り、請負業から社会的使命を担う産業への転換を強調した。さらに「社員が夢を持てる会社」を掲げ、若手社員の意見交換会や外部講師による研修を実施。不況下で意欲的な人材を採用し、日系ブラジル人を雇用して現場労働力を安�
�確保する姿勢も示した。こうした取り組みは、社員教育と社会的責任を重ね合わせた先進的な試みであり、廃棄物処理を未来産業へ高める意志を示すものだった。城木の言葉は、環境ビジネスが"安定"から"成長"へ移行し始めた1990年代半ばの空気を雄弁に物語っている。
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