2024年8月4日日曜日

フジリサイクル株式会社:1994年12月

フジリサイクル株式会社:1994年12月

**概要**
フジリサイクル株式会社は、兵庫県相生市にある相生工場で廃プラスチックを油化処理する技術を開発し、実証運転を行っています。この技術は、廃プラスチックを高温で加熱し、石油成分を分解して液状化するもので、生成された油はガソリン、灯油、軽油などの代替燃料として利用可能です。

**技術の特徴**
フジリサイクルの技術は、熱分解方式を採用しており、無触媒と触媒の二段階熱分解方式を組み合わせています。この方式により、廃プラスチックの加熱分解を効率的に行い、生成油の品質を向上させています。触媒を使用することで、生成油の軽質化が図られ、ガソリンや灯油などの炭素数10以下の軽質油を多く生成することができます。

**生成油の品質**
社団法人プラスチック処理促進協会の分析によると、フジリサイクルのプラントで生成された油の品質はガソリン、灯油、軽油などの日本工業規格(JIS)にほぼ相当することが確認されています。生成油は、工場のボイラーや加熱炉、ガスタービンの代替燃料として使用可能であり、実際にパイロットプラントでは生成油の一部を系内の加熱炉用燃料として連続使用しています。

**経済性の課題**
フジリサイクルの技術は技術的に成功を収めていますが、経済性の面ではまだ課題が残っています。廃プラスチックの処理コストが高く、特に塩化ビニル(PVC)が含まれる廃プラスチックの処理では塩化水素が発生し、除去装置が必要となるためコストが増加します。また、前処理工程での分別作業に人手が必要であり、人件費もかかります。

同協会の概算によると、1年に5000トンの生産能力を持つプラントの建設費は約12億円で、ランニングコストは1キログラムの生成油を製造するために46円かかります。現在、フジリサイクルは廃プラスチックを2万円で引き取り、1年に3000トンの処理を行うことで採算ベースに乗せています。

**展望と課題**
フジリサイクルは、廃プラスチックの処理技術をさらに改良し、経済性を向上させるための取り組みを続けています。特に、塩化ビニルを含む廃プラスチックの処理においては、塩化水素の除去技術の向上が求められています。今後も技術革新を進め、持続可能な廃プラスチック処理システムの構築を目指しています。

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