2024年8月6日火曜日

燃料電池:2000年2月

燃料電池:2000年2月

燃料電池は、クリーンで地域分散型のエネルギー源として注目されています。通産省・資源エネルギー庁が試算したところによると、2010年度には燃料電池の市場規模が5000億円に達する見通しです。この試算によれば、2010年度には燃料電池の導入量が年間38万キロワット、発電量が年間11億キロワット時に達し、燃料電池自動車の導入台数も年間4万台に上るとされています。

また、これに伴う雇用創出効果もおよそ2万人と見込まれており、定置型燃料電池製造分野で約1万人、燃料電池自動車製造分野で1万人の新規雇用が発生すると予想されています。さらに、新エネルギーの供給を現行の1.1%から3.1%に引き上げる長期需給見通しを達成した場合、燃料電池自動車約10万台、住宅用燃料電池220万キロワットの普及によって、2010年度時点で年間約70万トンのCO2排出量削減が可能とされています。

中長期的には、自家用乗用車・住宅用給湯設備の約2割をそれぞれ代替した場合、燃料電池自動車約800万台、住宅用燃料電池500万キロワットの普及が見込まれ、これによって約442万トンのCO2排出量削減効果が期待されています。この試算によれば、90年のCO2総排出量の約1.5%に相当します。また、こうした燃料電池など新エネルギーの導入による省エネ効果は、2010年度に原油換算で年間約69万キロリットル、中長期的には年間約556万キロリットルに達する見通しです。

燃料電池は、化石燃料から水素を取り出し、その水素を酸素と化学反応させて電気を生み出す仕組みです。発電過程で排出されるのは水だけであり、CO2を排出しないため、地球温暖化対策としても有効です。さらに、燃料電池はエネルギー効率が高く、化石燃料の使用量を削減できるため、エネルギーコストの削減にも寄与します。

これらの技術の普及には、政府の支援が不可欠です。通産省・資源エネルギー庁は、2005年度までに燃料電池の実用化・商用化を目指す「FC2010プロジェクト」を進めており、様々な実証実験や技術開発を推進しています。

燃料電池技術の進展により、将来的にはさらなる市場拡大と環境負荷の軽減が期待されます。今後も技術革新とコスト削減が進むことで、より多くの分野での導入が見込まれ、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。

2022年時点の数字との比較

2022年時点での燃料電池市場規模は約29億ドル(約3190億円)と報告されています。これにより、市場規模が予想よりも低いものの、依然として成長を続けていることが分かります。2022年から2032年にかけて、市場は年間平均成長率(CAGR)26%で成長し、2032年には約293.6億ドルに達する見込みです。

これらのデータから、2000年の予測と比較して実際の成長はやや遅れたものの、依然として大きな市場成長が見込まれていることが確認できます。燃料電池技術は引き続き注目されており、今後も市場拡大と環境負荷の軽減に寄与する重要な技術となるでしょう。

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