静かなる禍の沈みし海——放射性廃棄物の海洋投棄の歴史(1959年〜1993年)
ロシアおよび旧ソ連は1959年から1992年にかけて、北方海域や極東海域に大量の放射性廃棄物を投棄した。北方海域では879TBqの液体廃棄物と574TBqの固体廃棄物、極東海域では456TBqの液体廃棄物と252TBqの固体廃棄物が投棄された。特に1993年10月、ロシア海軍が日本海に900立方メートルの液体放射性廃棄物を投棄し、国際的な批判を受けたことで、以降の投棄が中止された。
また、欧米諸国も1950年代から1980年代にかけて放射性廃棄物の海洋投棄を行っていた。イギリスとベルギーは約28500個のドラム缶をイギリス海峡に投棄し、アメリカやヨーロッパ諸国も長年にわたり海洋投棄を実施していた。こうした投棄行為は国際的な規制強化の背景となり、1972年のロンドン条約により規制が開始され、1993年の改正で全面禁止となった。
日本では、海洋投棄に代わる方法として地層処分が採用され、現在もその計画が進行している。ロシアや欧米諸国による過去の放射性廃棄物の海洋投棄は、海洋環境に深刻な影響を与え、現在の厳格な国際規制へとつながった。
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