Monday, March 10, 2025

長野県・山間部での産廃不法投棄事件-1997年12月

長野県・山間部での産廃不法投棄事件-1997年12月

1997年12月、長野県の松本市郊外に位置する北アルプス山麓地域で、地元の建設会社「松本建設業協同組合」(仮称)による産業廃棄物の不法投棄事件が発覚しました。この事件では、約500トンの廃棄物が山林に埋め立てられていたことが明らかになりました。

投棄された廃棄物の詳細は以下の通りです:
- 建設廃材(約300トン、60%):コンクリートブロック、木材、石膏ボードなど。
- プラスチック廃棄物(約125トン、25%):断熱材やパイプ類。
- その他未分類廃棄物(約75トン、15%):金属くず、ガラス片、汚染された包装材。

調査の結果、廃棄物には微量の重金属(鉛や亜鉛)が含まれ、雨水により流出する可能性が指摘されました。特に、現場付近を流れる奈良井川の一部で鉛濃度が基準値の2倍に達していることが確認され、下流地域の農業用水への影響が懸念されました。

住民からの通報を受け、長野県環境保全課が現地調査を実施。その結果、投棄場所が「有限会社山岳開発」(仮称)が管理する私有地であることが判明しました。同社と松本建設業協同組合の関係者数名が廃棄物処理法違反で逮捕されました。

撤去作業と処理費用
廃棄物の撤去作業は1998年1月に開始され、県と国の支援を受けて進められました。総費用は約3000万円で、処理には以下のような作業が行われました:
- 廃棄物約500トンの分別と収集。
- 約12000立方メートルの汚染土壌の除去。
- 撤去後の土地復元作業。

判決とその後の対策
1999年、この事件の主犯とされた松本建設業協同組合の代表には懲役2年(執行猶予4年)、有限会社山岳開発の経営者には罰金500万円が科されました。この判決は不法投棄に対する厳しい姿勢を示し、地域社会に影響を与えました。

再発防止の取り組み
事件を受けて、長野県は以下の対策を講じました:
- 不法投棄防止のため、北アルプス山麓地域に監視カメラを設置。
- 地域住民や地元企業向けの環境教育プログラムを開始。
- 廃棄物運搬業者の登録制度の強化。

この事件は、自然豊かな山間部における環境保全と廃棄物管理の重要性を再認識させ、長野県全体での環境意識向上の契機となりました。奈良井川の水質は現在、回復が確認されており、再発防止策が有効に機能しています。

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