茨城県水戸市・六価クロム汚染浄化対策-2021年12月
2021年、茨城県水戸市の工業廃棄物処理施設跡地で実施された調査により、地下水中の六価クロム濃度が基準値の10倍(0.5mg/L)に達していることが判明しました。この汚染は、1980年代からの不適切な廃棄物処理が原因とされており、住民の健康リスクが強く懸念されました。
市と県は総額15億円の予算を確保し、2021年12月から大規模な浄化プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、以下の詳細な対策が実施されました:
1. **土壌掘削**
- 汚染土壌の掘削範囲は約10000平方メートル、深さ10メートルに及びました。
- 約5200トンの汚染土壌が除去され、近隣の処理施設で無害化処理が行われました。
2. **薬剤注入**
- 地下水中の六価クロムを三価クロムに還元するため、硫酸鉄(FeSO₄)溶液が10箇所の注入井戸を通じて地下へ注入されました。
- 総量20トンの硫酸鉄が使用され、約3カ月間にわたり注入作業が行われました。
3. **モニタリングシステムの設置**
- 浄化作業の進捗を監視するため、浄化エリアに15箇所の観測井戸が新設されました。
- 地下水中の六価クロム濃度をリアルタイムで測定するセンサーが導入され、毎日のデータが収集されました。
**成果と現状**
2023年の最終報告では、地下水中の六価クロム濃度が基準値以下(0.05mg/L未満)に達したことが確認されました。また、掘削後の土壌調査により、追加の汚染源が特定され、さらなる浄化計画が進行中です。浄化範囲全体の安定化には、さらに2億円の予算が追加される予定です。
このプロジェクトは、水戸市だけでなく、他の自治体が直面する地下水汚染問題における重要なモデルケースとされています。加えて、今後の再汚染防止対策として、不法廃棄物処理の厳格な監視と規制強化が求められています。
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