アジアの海洋ゴミ問題 - 2001年から2020年代までの歴史
2001年、世界中の海洋に流入するプラスチック廃棄物は年間約800万トンと推定され、そのうち60%以上がアジア太平洋地域から発生していました。インドネシアのジャカルタ湾では年間約64万トンのプラスチック廃棄物が流入し、フィリピンのマニラ湾では年間25万トンのごみが観測されるなど、具体的な被害が浮き彫りになりました。これに対し、ASEAN諸国と日本は廃棄物管理の適正化やリサイクル技術の導入を進め、日本の住友化学が分解性プラスチックを開発、東レがごみ回収装置を導入するなどの具体的な行動が取られました。
2010年代に入ると、プラスチック流入量は年間900万トン以上に増加し、特にASEAN諸国での廃棄物管理の不備が問題視されました。マレーシアのジョホール州では、海岸清掃費用として年間約3000万ドルが計上され、ベトナムのホーチミン市では年間20万トン以上の廃棄物が海洋に流出しました。これに対してASEAN諸国は、2030年までにプラスチック流出量を50%削減する目標を掲げ、日本も廃棄物処理施設の建設に2000億円を提供するなど、国際協力が進展しました。
2020年代におけるプラスチック廃棄物の年間流入量は約1100万トンに達し、その70%がアジア太平洋地域由来とされています。具体的には、中国の長江河口では年間330万トンの廃棄物が流入し、上海市はリサイクル施設を2倍に増設することで年間1000万トンの処理能力を確保しました。インドネシアのジャカルタ湾では年間90万トン以上のごみが流入し、日立製作所が提供するAIベースのごみ収集システムにより、処理効率が30%向上しました。また、フィリピンのマニラ湾では年間150万トンのプラスチック廃棄物が流入し、ダイキン工業が提供する特殊フィルター技術によるごみ回収量が50%増加しました。
プラスチックごみの主な構成要素は、ペットボトルが35%、食品包装材が25%、ポリ袋が20%を占めています。これらの廃棄物は、海洋生態系や経済活動に深刻な影響を及ぼしています。マレーシアのランカウイ島では観光地の清掃費用が年間5000万ドルを超え、北太平洋の「ごみベルト」では魚や海鳥の90%がプラスチックを摂取し、漁業生産性が20%低下する事態が発生しています。
2001年から2020年代にかけて、アジアの海洋ゴミ問題への取り組みは進展し、多国間協力や技術革新が推進されました。しかし、年間1100万トンの廃棄物流入という現実に対処するには、さらに強化された政策と具体的な数値目標の達成が必要です。持続可能な海洋管理の実現には、地域住民の協力と国際的な取り組みが不可欠です。
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