Wednesday, August 20, 2025

環境ビジネスのピラミッドステージは一部の特定産業から全産業(第1、第2、第3次)へ、都市(都市・生活関連)から地域(地域資源循環)へ、官公需から民需へ多様な広がりを見せ、一方で、ターゲットも各自治体の環境ISOやグリーン購入の取り組み、各企業の環境マネジメントシステム導入(ISO14001認証取得)などによる環境負荷の改善、消費行動基準に環境配慮を持つグリーンコンシューマー(緑の消費者)などに広がりを見せている。

環境ビジネスのピラミッドステージは一部の特定産業から全産業(第1、第2、第3次)へ、都市(都市・生活関連)から地域(地域資源循環)へ、官公需から民需へ多様な広がりを見せ、一方で、ターゲットも各自治体の環境ISOやグリーン購入の取り組み、各企業の環境マネジメントシステム導入(ISO14001認証取得)などによる環境負荷の改善、消費行動基準に環境配慮を持つグリーンコンシューマー(緑の消費者)などに広がりを見せている。

こうした環境ビジネスの市場拡大を背景に、環境ビジネスはいよいよ自立的な発展段階に入った。大手企業はもちろん、中堅・中小企業の環境ビジネスへの参入が増え、約3000社に及んでいる。しかし、それらの参入企業も、事業の継続と発展への軌道に乗ることなく、途中で撤退してしまう失敗組と、右肩上がりの好業績を持続する成功組とに分かれる。失敗と成功を分かつファンダメンタルズを点検してみたい。

環境という新しい価値観に基づいたミッションとしての環境ビジネス
環境ビジネス市場で既にパイオニアプロフィットを享受している企業は、経営トップの環境へのこだわり、環境配慮が事業理念に浸透していることがひとつの特徴となっている。環境負荷を改善したいという強い意志が環境ビジネスへの参入動機・目的になっている。単に儲かりそうだからという理由での参入はまず失敗している。環境ビジネスとはどんなビジネスなのかという認識があって始めて芽が吹くものだ。

どんなビジネスであれ、将来確実に成功する保証はない。環境ビジネスも同じである。ビジネスの成功の鍵を握るひとつとして「継続は力」ではないが、石にかじりついてもというビジネスを持続する志が不可欠である。環境ビジネスの場合、次世代の持続可能な社会の実現に向けて、環境の改善をしたいというミッションが根底には必要だろう。

1.現業の延長上に環境ビジネスを発想する。
各社が持つ得意分野(技術、サービス、あるいは販売チャネル)を活かしての環境ビジネスへの参入が成功の確度が高い。バブル時代に各企業が単に利益を追求するため、現業とは無関係の事業へ進出して失敗した「落下傘」的な発想ではなく、現業をコアとして地続きの「半島」的な発想が環境ビジネスには求められる。たとえば、端材やおがくず、廃段ボールなどの廃棄物を再生素材としたリサイクル家具メーカーとして成功している会社の本業はオーダーメイドの家具メーカーであったり、携帯電話から金、銀などの貴金属を回収する会社は貴金属の精錬技術を本業としている。

その他、家電リサイクル法施行に伴うリサイクル事業も家電メーカーが不慣れなリサイクル事業を展開するよりも、鉱山の既存施設と精錬技術を利用する方がはるかに効率的で、施設建設は10分の1の費用で賄えるし、鉱山の技術とノウハウの利用ができるのだ。要は現業の事業ドメインを生かすことを前提にして、すでに800を越える環境ビジネスのアイテムにいかにリンケージさせるかである。

2.市場ニーズの把握。
市場のニーズをいかに的確に読むかが重要である。これは環境ビジネスに限らず、ビジネスを立ち上げる際の鉄則である。ビジネスの成功・不成功を分かつ要因であり、勝負の半分はここで決まってしまう。市場のニーズに対して自社の技術やサービスがどう対応できるかを検討し、「何を売るか」という冷静な分析が必要である。

参入しようとする企業の中には自社の技術力を過大評価するあまり、用途のない製品をつくったり、市場のニーズにマッチしない製品(価格、品質、デザインが悪い)をつくってしまうケースが少なくない。

3.技術開発より事業開発。
市場のニーズ、つまりターゲットの絞り込みができたら、事業開発に着手。たとえば、リサイクル製品の開発の場合、素材である廃棄物を収集する入口において、いかに収集コスト、再資源化(分別)コストを低く抑え、かつ質の良い素材として廃棄物を効率的に確保できるか。そして再商品化したリサイクル製品が市場に商品として流通する出口、つまり市場の確保が不可欠である。この出口において、プロの流通業者との提携も必要になってくる。生ごみの堆肥については出口において肥料専門メーカーとの提携により、市場開拓が容易になる。

こうした事業開発は各事業所とのコラボレーションが前提となる。コラボレーションとしてコンソーシアム、PFIなどが考えられる。そうした事業全体の仕組みを構築した後に技術開発するのが妥当である。現場装置の開発にあたって複合的な技術が求められる場合は、大学との共同研究や公的機関(各自治体の工業技術研究所)との提携もある。その他、技術開発に必要な資金調達は補助金などの支援制度の活用も考慮したい。

4.マーケティング戦略。
製品やサービスが開発できたら、それらを「いかに売るか」というマーケティング戦略を考える。緻密な販売戦略、競合他社との製品及び技術の比較検討、エコマークや自治体の環境ラベルの認定などによる製品の認知、浸透、理解を得て、市場の評価を高めること。さらに環境ビジネスはメッセージ性の高い事業であるため、積極的な提案型営業が決め手となる。

環境ビジネス参入事例の中には、製品開発のための技術がなくても成功するケースも増えている。海外には価格が安く、性能の良い製品がたくさんあり、それらを輸入し、積極的な提案営業で販売するケースである。既存の販売チャネルを活かしての販売もより有利である。

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