Sunday, August 17, 2025

エクソンバルディーズ号原油流出事故-1989年3月

エクソンバルディーズ号原油流出事故-1989年3月

1989年3月24日、アメリカ合衆国アラスカ州のプリンス・ウィリアム湾で、エクソン社の大型タンカー「エクソンバルディーズ号」が暗礁「ブライ船長岩礁」に衝突し、約412000リットル(26万バレル)の原油が海に流出しました。これはアメリカ史上最悪の原油流出事故のひとつで、約3367平方キロメートルに及ぶ海域が汚染されました。さらに、原油は約2092キロメートルにわたるアラスカの海岸線に広がり、広範囲の海洋生態系に深刻なダメージを与えました。

この事故による生態系への被害は甚大で、推定で約25万羽の海鳥、3000匹のラッコ、250頭のワシ、約22頭のシャチが命を失い、サケやニシンなどの漁業資源にも大きな影響が出ました。事故後、エクソン社は現場清掃に約21億ドルを費やし、さらに約15億ドルの罰金と補償金を支払い、追加で25億ドル以上が訴訟により請求されました。

この事故を契機に、アメリカ合衆国では1990年に「石油汚染防止法」が制定され、新造タンカーには二重船殻が義務化されました。また、事故対応と損害賠償の規制も強化され、迅速な対応が求められる体制が整備されました。国際海事機関もその後、二重船殻構造を推奨する条約改正を行い、各国で海洋環境保護に対する意識と規制が一層強化されました。

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