Saturday, August 16, 2025

**冬の海が変えた岡山の浜 1990年代後半〜2000年代半ば**

**冬の海が変えた岡山の浜 1990年代後半〜2000年代半ば**

1990年代後半から2000年代半ばにかけて、岡山県沿岸では冬期の海水温がかつてないほど高くなる現象が目立ち始めた。瀬戸内海はもともと内湾性の穏やかな海域で、養殖ノリにとって理想的な低水温環境が維持されてきた。しかし、この時期になると冬場でも水温が下がりきらず、ノリの色落ちや生育不良が頻発した。地元の水産関係者は「かつての冬の冷たさが戻らない」と証言し、品質低下による市場価格の下落や、肥料コスト増への対応に追われた。背景には地球温暖化の長期的傾向に加え、エルニーニョ現象や黒潮・対馬暖流の変動が複合的に作用していた。当時は京都議定書が発効(2005年)し、温室効果ガス削減が国際的議題となった時期であり、国内でも温暖化の影響を身近な現象として実感する声が増えていた。岡山の
浜辺で進む冬の変容は、気候変動が地方の伝統的な生業に直撃することを示す象徴的な事例だった。

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